竹内まりやの駅を聴くと、思い出す人がいる。
短い恋だったあの人。
いや、あれは恋でもなんでもなかったかもしれない。
あの時の私は、神様が私の用心深さの柵を外したのかも、としか思えないくらい傾倒していた。
正確に言うと、その人に出会った時、私は駅を聴いていなかった。
もっと別の洋楽を聴いていた。
なんなら、陽気なラテンの曲を聴いていた。
それなのに、駅を思い出すのは、よっぽど歌詞と私の立場がリンクしていたのだろう。
彼との出会いは、飲み会だった。
なんとなく近くに座り、なんとなく感じいいなと思っていた。
メールアドレスを交換した。
そこから色々やり取りをして、デートもし、一線越えるか?ということもあった。
この人もしかして私のことを好きなのか?とのぼせ上がった。
そして、唐突に振られた。
彼女が出来たらしい。
彼のせいにするつもりはないが、気があったのではと思わせぶりな態度をとるのは酷いなと思った。
そこから私は気が狂ったかのように彼に連絡をしまくる。
やればやるほど嫌われると分かっていながら。
駅を聴くと、苦い思いがせり上がってくる。
共通の知人のパーティー会場で彼を見た。
完全に私は居ないものとして無視された。
何だったんだろう二人で遊んだ時間はと思う。
今思えば、簡単に関係を持たない私のことなど面倒な女だと思ったのだろう。
人は誰しも相手に迷惑をかける恋愛をする。
いいことも悪いことも。
そんな恋愛を通して、距離をうまく取れるようになるんじゃないかと私は信じたい。
でないと、私のこの恋愛は無駄死になる。
人は色んな経験をして大人になっていく。
そうやって、人間の味わいが出てくるんだろうと思う。