彼女の“Modern..."

「罰ゲームとして、今度アイツとデートして来てよ。ツーショットの写メも撮ってね!キャハハ、まじ受けるー」

私はヘラヘラして友達に嫌と言えない。

アイツとは、同じ高校の同級生。

ビジュアル系バンドが好きな男子で髪型がヤバい…。

私は女子で罰ゲームとしてデートすることになったのだ。

待ち合わせ場所に5分前に行ったら、アイツはもう来ていた。

絶望的な格好をして。

私に気付いて、手を振っている。

周りの視線が私に向く。

死にたい。

下を向いてヤツに、「行くよ、ほら」とぶっきらぼうに言う。

行きたい店はヤツに決めてもらった。

私の好きな店には恥ずかしくて連れていけない。

思った通りゴスロリの店に連れて行かれた。

歌を歌い始めた。

「何の曲」と聞くと、「彼女の“Modern..."」

ゴスロリの中に可愛らしいフリルの服があった。

可愛いと思った。

でも、笑われる。

「それ、好きなの?」とヤツ。

「いや、そうでもないけど」

「ふーん、好きなら着たらいいじゃん。好きなのに着ないって変なの」

「ははは、そうだよね」

笑うしかない。

その後、二人でご飯を食べた。

私が「ツーショット撮らない?」と聞く。

「いいの?!嬉しい!俺ちょっと買ったやつとかもつけていいかな?嬉しい!」

それを見ていたら、ズキッと心が痛んで、下を見る。

「どうしたの?写メ撮ったら?アイツらに見せるんだろう?」

「知ってて…!」

「大きい声で話してたから聞こえてたよ」

「ごめん…」

私はスマホの電源を落として、泣きそうになった。

ヤツはいい奴だ。

ヤツは困ったのか、「歌を歌ってやるよ」と彼女の“Modern..."を歌った。

困りながら私は笑って、「やめてー」と言ったら、彼も笑った。