シーソーゲーム 勇敢な恋の歌

私がハタチ頃の話。

小学校の時の同窓会があり、二次会でカラオケになった。

そして、夜中の2時になり、会はお開きとなった。

雨が降っていた。

幼馴染の男の子が、車取ってくるから、待っててと言われ、雨宿りしていたら、稀代のモテ男が隣に来た。

「雨か、車待ってんの?」

「うん、そう、幼馴染の」

「アイツ、何してる?」

「幼馴染?」

「お前とめっちゃ仲良かった、男っぽい女」

「あー、あの子!元気だよ。成人式来てたよ。化粧してた」

「へえー、そうなんだ。俺、アイツのこと心配だったんだよね」

「ところで、最近どう?」

「姉ちゃんと妹にこき使われてる」

そうだった、モテ男、姉妹に挟まれてるんだった。

話しやすさで勘違いして、泣いた女の子たちを何回か目にしている。

私の女友達たちも泣いてる。

「お前、男は?」

私、話したっけか?

あ、聞いてたのか。

宴席の時、近くにいたな、そういえば。

「順調でえす!」

「嫌味か」

「あ、そういえば、ミスチルのシーソーゲーム歌ってたね。懐かしかった。私、B'z派だけど、あの曲は好きだったな」

「あのさ、俺、お前のこと好きだったんだ、当時」

「へえー、モテ期来たかな」

「真面目に言ってんだけど」

「それで、何人泣かしてんのよ」

おーい、車取ってきたぞー!と幼馴染の声がする。

「よく分からんが、今の女の子大切にしなよ。またね!」

そこで会話は途切れた。

風の噂で結婚したと聞いた。

やっぱりからかわれたのかと思ったのと同時に、少しだけ寂しい気持ちになったのは、私だけの秘密。