井上荒野著です。
面白かったというのが、正しいのか分からないけど、面白かった。
私は読んでいて、不思議な印象を受けた。
この物語、井上荒野さんの親のことのようなんです。
かなり平たく言うと、お父様をめぐる三角関係で、お母様と不倫相手のお話し。
確かに、お父様を通して色恋あるんですが、泥沼とかじゃないんですよ。
この女性二人の関係が、本当に不思議で。
三角関係と申し上げましたが、お父さまはこのお二方方以外の女性とも火遊びなさっています。
でも、この二人の女性とは違う。
二人に関して言うと、泥沼とかそういうレベルじゃない。
かと言って、クリーンで崇高かと言われたら、それもなんとなく違う。
私の想像ですが、お二方とも自分は堕落していたと感じていたのではないだろうか。
だから、無邪気に人を傷付ける鬼のようなお父様を好きになったのではなかろうか。
長い間、お父様と付き合って、きっと同士のような気持ちもお有りだったのだろう。
お父様の身勝手さも、時折見せる優しさも、悲しいくらいに気持ちが分かってしまうくらい同士だったのだろう。
だから、二人は距離を取りながらも、通じ合うものがあったのだろうなと思いました。
いや、しかし、読み始めは、なんて男だ!と思ってたけど、不思議な魅力あるんかな。
私にはそこまでの境地に行けませんでした、ごめんなさい。