銀の雨

「仕事辞めるのですか?」

「さすがね、誰が漏らしたのかしら。情報早いわね」

「何故ですか!」

「時代遅れだからよ」

「まだ必要としています。ですから…!」

「あなた、銀の雨という歌知ってる?松山千春の」

「知ってます。母が好きでしたから」

「知識の八方美人はいいわね。私は好きよ」

「話しをはぐらかさないで下さい!」

「あなた、歌詞を見ないで聴くの?」

「でも…!」

「それが答えよ」

「まだ若い子たちはあなたの力を必要としています」

「あなたは何のためにここにいるの?」

「どういうことですか」

「何のための中堅の位置にいるかってことよ。世代交代しないと新陳代謝にならないでしょう。冒頭で言ったわよね?時代遅れだからよ、と」

「でも、こんな去り方…」

「私が去ることでビクつくくらいじゃトップ取れないわよ。業界のトップ狙っているんでしょ?」

「でも、私、まだお聞きしたいことが沢山あります。教えてもらいたいことも」

「あなた、引き留めにかからないで頂戴。言ったわよね?何のための中堅の位置にいるかって。あなたは私が認めたのよ。だから、去れるの。実際に実力はついてる。今度はあなたが教える番。試行錯誤をしながら人に教えるのよ。あなたもまた成長できると思うわ。頑張りなさい、孝行だと思って」

というのをふと思う春先の出会いと別れ。

なんとなくストーリーにしただけで、深い意味は無いっす。

春だなあ…。